くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

『オレたち花のバブル組』池井戸 潤

『オレたちバブル入行組』の続編。おなじみ勧善懲悪の半沢直樹シリーズ。
ただ、銀行という組織は特殊な世界で、かならずしも完全懲悪が機能しない世界であるということは読み進めていけばわかります。半沢の行為にもモラル的にどうなのかという行為は多々あるわけで。


今回のメインテーマは金融庁検査。
銀行には調達コストの低い預金をお客様から預かり、それを法人・個人への融資や投資で運用して利益を上げるという権利を国から与えられています。
特権がある一方で義務もあるわけで、銀行は自己の利益の最大化を追求するのではなく、預金者からの信任に応える(要は損を出さずに安定的な運用をする)必要があります。銀行がしっかり運用できているのか、融資への評価は適切かを判断するのが銀行の監督機関である金融庁による検査。
私は融資の経験はないので存じませんが、金融庁検査があると若手を中心に終電でも帰れず休日出勤というハードな日々が続くのだとか。
融資への返済がなされるのかを評価するには、融資先の将来キャッシュフロー予測をする必要があるわけでして、過去の数字だけでなく事業計画や業界分析、担保価値や経営者の資質など諸々を見て判断しなければなりません。
定量的・機械的に評価できるなら楽なんですが、さまざま要因を加味してその企業について初見の検査官に納得してもらう必要がある。そうすると、資料の準備などに莫大な時間がとられるわけです。
(定量的・機械的に評価できるのであればバンカーやRMなどという存在はいらないのかもしれませんが。)

融資先が要注意先や要管理先、破綻懸念先へ分類されると引当金を積む必要があり、その積立金はそのままPL上マイナスに作用し下振れさせます。金融庁検査でどう評価されるかは、銀行への業績への影響が大きいビッグイシューなのです。

本作品でも派閥や上司の出世欲によって窮地に陥った半沢が、戦略的かつ自分の意のままに発言・行動しながらピンチを克服していくというストーリー。そしてドラマで賛否両論あったように、最後のクライマックスまでがいかにも銀行という内容。
若手銀行員の多くは「自分は出世の階段の上を目指す」という野望を持って入行してくる。出世競争というプライドをかけた戦いと交差する各登場人物の思惑は非常に生々しくもあり細部までリアリティのある内容だったと思います。

プライド、お金、家族、出世、正義。男が仕事で守るべきものが複数あるなかで、各登場人物は自分の価値観に沿って行動していく。銀行員という組織のなかで自分が誰々の立場だったらどう行動するのか考えながら、読み進めていくとおもしろい。

渡真利や近藤とのチームワークや衝突を見て、やはり同期って大事なんだなと再認識しました。同期に限らず同じビジョンや想いを共有できる仲間が会社に何人いるかで、会社でどこまで上りつめることができるかは規定されてくるのでは。


続編の『ロスジェネの逆襲』はまさに小職が現在している仕事がテーマなようなので、もう少し安くなったら読んでみようと思います。

満足度
☆☆☆★★

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  1. 2013/09/25(水) 23:21:58|
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『オレたちバブル入行組』池井戸 潤

巷で話題のドラマ半沢直樹の原作本。私の周りのバンカーでは「なぜあそこまでヒットするのかよくわからない」という意見が多数な印象でしたが、ここまでヒットするとこのドラマが一般の人々の銀行員に対するイメージを規定してしまうので見ないわけにはいかず。ドラマの前半をキャッチアップするのは無理なので原作で対応。

内定者と話す機会があると、必ず半沢直樹について聞かれます(笑)事実は半沢直樹の世界観よりもエキサイティングな事件もあったりしますが、あそこまでの事件はそうそうありません。


バブル期に大手銀行に入行してその直後にバブル崩壊して美味しい想いはできず、団塊世代の尻拭いをしなければならなかったバブル世代。派閥や出世競争という悪しき風習に翻弄されながらも、知恵と気合と行動力で降りかかった火の粉を払っていくというストーリー。
メインとなる題材は粉飾・不渡りですが、自分の担当先がそのような事態になると担当者はかなりひどい目にあってゲッソリします(笑)

銀行に限らず社会人生活には理不尽なことはあるわけで、そのなかで自分の信念と正義を曲げずに上司たちにリベ
ンジする半沢に、読者は必然的に自己を投影しながらスカッとした気分を味わうことができます。
登場人物のセリフの部分が多くタッチも軽いので、一気に読み終えてしまいました。


統合した銀行からの転職者から聞いたようなあるある話もふんだんに散りばめられていてかなりリアリティのある作品だと思います。さすがに銀行員出身の作者が書いている作品ですね。
M銀行とか、M銀行とか、M銀行とか。メガバンクはすべてイニシャルだとM銀行なんですね。

私は金融機関で働きながらも与信(融資)の経験は一切ないので、融資関連の基本用語やRM(リレーションシップマネージャー)の思考回路の一端がわかって参考になりました。
銀行という組織で上にのし上がるにはフロント(法人融資)での実績は必要不可欠。常日頃、「将来、頭取になりたい。」とルフィばりにDQNな発言をしている小職としては一回いつかは融資で実績を残さないと。
ただ、半沢のような勇気も行動力もないので、より思慮分別のある浅野支店長というような路線を目指すしかないのかと思います。

うちの会社は内部での派閥争いや、浅野支店長や小木曽次長のような出世のためにモラルを捨てる方はいないので、その意味では自分が非常に恵まれているなと感謝しました。
そして、銀行員として守らなければならないプライドとコンプライアンス意識という二つの線を再認識させられました。


銀行員にはどのような人種が多いのか、銀行と付き合いのある財務部の方にもおススメの一冊です。


惜しむらくは、公務員に次いで安定した職業という銀行員への幻想が脆くも崩れ去ってしまいましたね。
私も来るべき婚活に際して、銀行員という看板を使おうと思っていたのですが残念無念。浅野支店長の奥様のような方をお嫁さんに貰うしかないですね。。。

満足度
☆☆☆☆★



  1. 2013/09/24(火) 22:49:13|
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震災ボランティア記録 2013.7.27-7.28

7月末に会社のボランティアで南三陸に行ってきました。
震災後行くのは5回目。

初日は夏祭りの会場までのバスの運行のお手伝い。
瓦礫の撤去だけのハードなボランティアだけでなく、被災地の方々を笑顔にできるようなソフトなボランティアへのニーズもあるそうです。

残念ながら大雨の影響もあり私たちの担当のバスは利用されませんでしたが、復路でなんとか一人の学生が利用してくれました。
若者の甘酸っぱい(?)思い出つくりに貢献できたとおもうとそれだけで疲れが吹き飛びました♪

結局初日はあまり仕事がなかったので、キラキラ丼2杯、串物も片っ端から食べてました。
6月にダイエットしたのに一気にリバウンド(笑)
復興商店街だけで諭吉先生3枚使用したので、地元にお金を落とすという貢献はできたのでは。



2日目は畑の瓦礫撤去のボランティア。
若者の参加者は少なかったので、私は手押し車を押してましたが、雨でぬかるんでたせいか翌日体がびっきびきに。
前日お姉さま方と飲みすぎていたせいかベストパフォーマンスが出せず後悔。
次回までに体(特に足腰)を鍛え直します。

被災地へのボランティアや訪れる人はピーク時の半分近く減っているそうです。
人々の記憶というのは薄れてしまうものなんですね。

先月の地震速報(結果として誤報だったわけですが)の際も、オフィスでヘルメット被ってデスクの下に潜ったのは私だけでした。。。
2年半前にあれだけの恐ろしく悲惨な体験をしたにも関わらず、それを生かした迅速な行動が取れないなんて。

私も被災直後の凄惨な光景を見るという機会がなかったとしたら、多分薄れ行く震災の記憶とともに東京で普段通りの生活を送っていたのだと思います。

被災直後に現地に行かせてもらえた者として、震災のことを忘れぬためにボランティア以外での被災地訪問を継続できればと思います。



■志津川中学校からの景色 

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  1. 2013/09/20(金) 21:11:09|
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映画「立候補」

昼間に見て面白すぎたので、ナイトショーでも見てしまいましたw
選挙の意味、そして有権者はどういう視点から候補者を選ぶべきかをもう一度見つめ直したくなりました。


「泡沫候補」
同じ金額の供託金を納めながら、メディアも有権者も「当選の可能性がない存在」というラベルを張り彼らの主張が真剣に検討されることはほとんどない。しかし、彼らは負けるとわかっていても選挙で戦い続ける。

泡沫候補が奇抜なパフォーマンスをしていると周りに有権者は集まってくるが、政策の話をした途端に誰も聞かなくなるというのが現実。
正直、私も選挙公報を読む際に有力候補以外の候補者の公約を読むことはなかった。
しかし、映画パンフレットで文字としておこされた政権放送の発言を読むと案外まともなことを言っているし、有力候補よりもより具体的な政策を打ち出している印象さえある。

政党や支援団体の支援を受けてない候補者の話を一切聞くこともせず、なぜ彼らが当選するに値しないと判断できるのだろうか。

映画の主役はマック赤坂だけれど、彼の選挙演説&戦略はユニークだが中身が薄く彼一人にスポットライトを当てただけでは映画として成立しえない。
秘書、息子、その家族、そして名もない有権者たち、彼らが抱える思いと後日談があってこそ映画となりえている。
途中までは、完全にコメディだけれど最後のシーンでは見ていて身震いしたのが自分でも感じとれた。
狂ったように見える候補者と狂気の群集がぶつかりあうシーンは何度でも見る価値はあると思う。
民主主義とは何かも再考させられました。


■ 主な出演者
会員数ゼロの政治団体・スマイル党総裁のマック赤坂&秘書・息子
落選回数日本記録で夕張市長戦では想定外の善戦を見せた羽柴誠三秀吉
奇抜な政見放送がYouTubeで150万回再生された外山恒一
そして他の2011年大阪府知事選立候補者etc


満足度
☆☆☆☆★


  1. 2013/09/18(水) 16:42:49|
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