くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

『ロスジェネの逆襲』池井戸 潤

2014年最初に読んだ本がこの本。昨年ブームの半沢直樹シリーズの第3作。
証券子会社へ出向した半沢がM&Aを舞台に活躍するというお話です。

金融機関の提供するアドバイザリーサービスというのは、まさに小職が従事してきたお仕事でしたので前2作に比べるとかなりすっきりと頭に入ってきました。スキームの適法性や実現可能性、登場人物のあまりにもな順法意識など、この仕事をやっている身としては突っ込みどころ満載でしたが、新聞紙上を賑わすようなビッグディールの裏でどのようなことが行われているかをイメージするのには適した本です。銀行のアドバイザーも登場するので、M&Aと融資の関係性についても理解が出来るというのも素晴らしいです。


「事実は小説より奇なり」と申しますが、描かれているような神経戦・情報戦が繰り広げられているのは紛れもない事実。一つのM&Aが成功するまでには様々なステークホルダーの思惑が交錯し、胃が痛くなるような思いを何度もさせられることが往々にしてあります。でも、そこがM&Aアドバイザーという仕事の魅力があり、一度体感するとなかなか抜け出せないんですよね。

バブル崩壊、終身雇用制の崩壊など、現在のなかで職場には世代間格差が内在しています。小職も、同じ職場に30年前に入っていれば行内結婚も出来て、悠々自適な老後を送れたのだろうと無意味な想像をしたことは正直あります。私達の世代では「会社への忠誠=幸福な人生」という等式は成立することはないんです。だからといって、世代間の格差に不満を言い続けても何も生み出しません。
格差がなぜ生まれたのか、なぜ問題なのか、どう取り組むべきかを考えながら、最適だと思う社会と会社のカタチを見つけることが若手世代に課せられた課題なのだと思います。

本作品から学んだ最大のテーマはアドバイザーに限らず金融機関に勤める者が「どこを向いて仕事をすべきか」ということです。あくまで一般論ですが、今までの銀行員は「顧客第一主義」といいながら、「組織の論理」や「銀行の利益」を重視してしまってきた面はあるのだと思います。フィーの獲得を最大の目標とするのではなく、顧客にとって真に価値のある提案ができているのかを自省しなければいけないと再認識させられました。
メインバンクや主幹事というもの意味が薄れて行くなかで、顧客の状況・ニーズを正確に把握し、顧客とともに成長できるビジネスをするということが現代の金融機関の使命だと思っています。

とある登場人物が退職理由で言う「仕事の質は人生の質に直結する」という言葉が一番印象に残りました。
2014年の目標を立てる前にこの本を読んだことは本当に収穫でした。

満足度
☆☆☆★★

キーワード
M&A/証券/半沢直樹/利益相反/粉飾/TOB/買収防衛/第三者割当/バブル/ロスジェネ


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  1. 2014/01/05(日) 02:15:23|
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