くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

『欲望産業・上 小説・巨大消費者金融』高杉良

【あらすじ】
大手都銀の帝都銀行・元常務の大宮紘平は、行内抗争に敗れ、系列の帝都クレジット社長の座も追われようとしていた。かつて頭取候補と目され、カード業界で大宮旋風と言われる拡大路線を展開したその経歴と手腕に目をつけたのは、消費者金融最大手・富福のオーナー社長、里村栄一だった。が、大宮を待ち受けていたのは、富福の驚くべき企業体質だった。消費者金融の絶頂期を克明に描き、その後の凋落を予言した傑作経済小説。

フィクション小説という体裁を取っているが、2010年に破綻した消費者金融業のT社をテーマにした小説。
当時の消費者金融最大手企業の問題点を主人公大宮の合理的・冷静な視点から捉えていく。

昔ご縁があって、東大を出てT社に就職した方とお話しする機会があったけれど、頭の回転は速いし、礼儀やマナーは素晴らしいし、胆力もあり無敵だなと脱帽した記憶がある。確かに今の社会にはそぐわないような非人間的な働き方を社員に強いていた面はあるのだろうけれど、そこで生き残ってきた人たちのパワーは目を見張るものがあった。

本小説で描かれている消費者金融は40~90%という高利の時代の話であり、取り立てに関する制度も不十分で乱暴なやり方がまかり通っており、現在のコンシューマファイナンスと比較すると隔世の感はある。
個人を対象としたファイナンスというものはどの国にもあるし、必要不可欠なビジネスだと思う。実際、本小説の時代でも、利用者や従業員だけでなく多くのステークホルダーが様々な形で恩恵は被っていた。
社会に必要なビジネスに携わりながらも、自分達の企業とビジネスの存在意義を社会のなかで定義しようといった高邁な精神を持つ社員が育たない業界の風土、生活困窮者に金を貸し利益を出す「サラ金」への偏見、そして個人商店としてのガバナンスの欠如が、リーディングカンパニーの崩壊と消費者金融業界の成長を招いてしまったのだと思う。


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  1. 2016/06/07(火) 11:08:59|
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