くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

『起業家』藤田晋



サイバーエージェントの社長の起業からAmeba 成功までの回顧録。
サラリーマンやっていて仕事もそれなりに充実していて、待遇にも満足していると、起業をしようという感情はなかなか湧かない。かといって組織の論理と自分の価値観がバッティングしたりすることはあるわけで、そういう時に組織の外で自由にサービスを提供したほうが社会により価値を提供できるのはないかと思うことはある。そういう時にふと手に取った本。
華やかやでイケイケの社長かと思っていたけれど、買収戦略や新規投資への目線が手堅いのが非常に意外で、だからこそライブドア、インデックス、GMOと多くの起業がバブルの代償で苦しんだなかで生き延びてきたのだと思う。(人生一度きりしかないわけで、時勢を見て天下を取るために勝負をかける彼らのギャンブルが間違いだとは決して思わないけれど。)メディアで取り上げられる「キラキラ女子」や20代の子会社社長など、華やかなイメージが強かったが新卒重視の人事方針など非常に手堅い会社なのですね。
起業家の苦労や孤独は伝わってきたけれど、起業して何か価値を提供したいというよりは、起業家として成功を収めることが自己目的化している印象。もちろん、藤田氏のような成功した起業家が現れることで、彼に続く起業家が現れてほしいという高邁な意思はあるのだと思うけれど。惜しむらくは、起業前の苦労や一定程度の規模になる前の苦労を描いてくれたほうが、後に続く若者の参考になったと思うけれど。まぁ、下世話な読者が気になるのはライブドア事件の裏話だったりするので致し方ないですね。
代理店事業から、メディア事業(アメーバ)への転換プロセスが後半の中心。今となっては、芸能人のブログといえばアメーバでかなりのPVを毎日稼いでいる。ブログという文化がそもそも日本に根付いてなかった時代、役員も社員も株主もブログの将来性をそして誰もその投資に理解を示さなかったなかで、自分を信じて莫大な投資を継続する覚悟というのはたいしたものだと思う。トップダウンで意思決定し、失敗したら去る、投資の結果として創業社長として得た株式価値を失ってもいいという覚悟があったからこそアメーバは生まれたのだと思う。
おそらく今のAbemaTV事業も、かつてのアメーバと同じ状況。いくつかのコンテンツは莫大な視聴者を稼ぐが、サーバーが落ちるなど、まだまだシステムインフラも不安定。多くのコンテンツはお世辞にも、TVなどの既存にメディアに勝てる質とは思えない。テレビ局の社員は相変わらず高給取りで、ネットに押され気味であるとはいえ、TVに勝つことができれば莫大な金塊を掘り起こすことができると思う。アメーバ事業と同じく、藤田氏とサイバー社が投資を我慢して継続できるのか注視してきたい。

満足度☆☆☆★★

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  1. 2017/06/10(土) 22:05:32|
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