くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

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『解任』マイケル・ウッドフォード

昨年の日本の経済界を賑わせたオリンパス事件を、告発者であるCEOの視点から時系列で振り返った1冊。
1ページあたりの文字数が疲れなくて目にやさしいということもあるのかもしれないが、著者が事実に対して、何を考え、そしてどのように行動したのかということが非常に論理的でありスラスラと読み進めることができた。一方で、他の菊川元会長をはじめとしたオリンパスの取締役陣の行動及び発現はまったく理解できず苦しいところだらけ。

現時点では正義がどちらにあるのかははっきりしているが、組織への裏切り者として、かつての同僚、株主、債権者、マスコミからバッシングを受けていた社長解任直後の筆者には我々には理解もできぬ並々ならぬ苦労があったのだと思う。

当初、私もブルームバーグ端末を叩きながらこのニュースの記事を目にしたとき、「グローバルカンパニーとはいえ、非常に保守的な日本企業のトップを、生え抜きの外国人がつとめるのは土台無理なはなしであったのだ」と、全くの無理解と会社発表への妄信に基く愚かな感想を抱いてしまったもの。同じニュースを見て、とある先輩が、「多分裏があるから、きっとオリンパスの株価は今後乱高下するぞ」と予想されていたのはさすがでした。(当然ながら、金融機関に働く我々は株式の売買は厳しく禁じられています。)

恥ずべき話ではあるけれど、少なからず日本の金融界や経済界には、著者の行動を「空気が読めない蛮行」と非難したものはいたと思う。
オリンパスほどあからさまに違法かは別として、バブル後に多くの経営者が「飛ばし」によって失態への帳尻あわせを行ったことはかなり確度の高い事実。
そして、「組織という名の大義のもとでは、悪を善と看做す」ことが許される日本では、CEOでありながら組織の根幹を揺るがす告発を行った著者の行動が奇異に移ったのかもしれない。
しかしこの本を読めば、著者の行動と判断の軸は、決して名誉や金への執着ではなく、会社への愛と正義であったということが身に染みてわかる。
語弊があるかもしれないが、著者が頭が切れるとはこの本を読んで感じることはできなたかった。ただ、その場その場で、常識 と良心 に従った適切な判断を下せているのは素晴らしい才能だと思う。


事実の概要が明らかになり、著者はCEO復帰を目指すが、そこで大きな障害となったのがメインバンクと安定株主の無理解であった。
著者から充分な判断材料を得ていたにも関わらず自分の意思で適切な判断を下せない取締役が残る人事など茶番であり、いかにオリンパスの技術が競争力を有するとはいえ、無能な取締役が残ることに株主・従業員・債権者ももっと反対・不満の声をあげるべきであると思う。

空気を読むことは大事かもしれないが、無批判な仲良し集団では、せっかくの利益の源泉をフル活用することはできない。
将来に対する危機意識をしっかり持ち、「飛ばし」のように先送りせずに現実を直視できるリーダーがもっと登場することを願ってやまない。

私は常日頃「将来は頭取になる!」と嘯いてはいるのだが、頭取ではないにせよ自分が上の立場に立ったときに、
ウッドフォード氏のように、会社の利益と良心という視点から大局的に判断できるビジネスマンになりたいもの。
そのためには、もっと経営者が書いた本を読まなければいけないなと痛感させられた。


満足度
☆☆☆☆★

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  1. 2012/10/05(金) 01:01:43|
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