くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

『タックスヘイブン』橘玲

【あらすじ:Amazonより】
シンガポールでもっとも成功した日本人金融コンサルタント北川がホテルから墜落死した。死んだ北川の妻・紫帆は現地に、高校の同級生・牧島とシンガポールへ赴く。紫帆はそこで北川の現地妻と息子の存在を知る。北川は1,000億円を扱うファンドマネージャーだったが、政治家や会社社長など、数々の顧客のプライベートバンクの口座に10億円、50億円規模で穴を開けていた。背後に見え隠れする、日本の首領が仕組んだブラジルへの原子力発電施設輸出計画とそれを見込んだファンドとその失敗。紫帆と大物政治家の過去。大物フィクサーの影と蠢く謎の仕手グループ。そして起こった大物政治家秘書の暗殺。北川の死は自殺か、それとも殺人か? 口座から消えた巨額の資金は、どこへ送られたのか!?

シンガポールを舞台とした金融ミステリー。タイトルのタックスヘイブンはパナマ文書でも話題となりましたが、日本語に訳すと税金のかからない楽園すなわち「租税回避地」。舞台となるシンガポールのような国々は、外貨獲得の為に意図的に税金を優遇する制度を整え、企業や富裕層の資産を誘致している。
せっかく稼いだお金を税金で取られるのはばかばかしいと考えるのは悲しい人の性。お金持ちは節税スキーム自体に価値を見出し、そのスキームをアレンジするコンサルタントが跋扈し一つのビジネスとして成立している。
小説を読みながら、国際的な外貨決済の仕組み、祖関回避の手法など話のネタとして知っておいて損はない知識もちりばめられていて、金融機関で働く身として参考になった。(実務で使えるレベルではないが、あくまで自分の専門外の領域の参考として。)

各登場人物のアクの強いキャラクターと闇、シンガポールのリアルな背景描写が相まって、飽きることなく一気に読み終えてしまった。当初はプライベートバンキングを舞台にした金融ミステリーかと思ったが、読み進めるにつれ拝啓には国家レベルの大きな闇が隠されているという展開に興奮を覚え、作者の逞しい想像力に感嘆せざるを得なかった。

満足度
☆☆☆★★



  1. 2016/10/16(日) 09:44:22|
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『サラブレッドと暮らしています。』田村正一


園田競馬場に勤務する厩務員が、ホースマンの日常をコミカルに描いた作品。

この本を読んで再認識したのは、競馬って馬という動物が走っているのだなという当たり前といえば当たり前のこと。
指数や調教タイム、持ち時計等のデジタルな予想ばかりしていると、そこを見失いがち。
動物なので怪我や病気になることもあるし、性格ややる気が原因でレースに勝てないこともある。
競馬は馬を狭いゲートに閉じ込め、鞭で叩き故障のリスクを負わせてまで走らせるある種残酷なスポーツ。多くの牡馬は自分の遺伝子を残す事は許されずにその生涯を終えていく。
だからといって、馬はヒトに寄り添わなければ生きていけないし、生まれて来ない方が幸せだから繁殖しないというのも違うとは思う。

人間と寄り添って生きてきた長い歴史を持つ馬が生きていくには、競馬は必要なのだろうし、競馬という事業を成り立たせるためにも馬券を買って楽しむことが重要なのだろうと感じた作品でした。

満足度
☆☆☆☆★



  1. 2016/10/15(土) 09:43:42|
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TV出演した話


先日、2分程度らしいですがテレビ番組に出演しました。
黒歴史でもあるAKBイントロクイズ王座決定戦以来のメディア出演で今回も黒歴史でした(笑)

事前に私のインタビューが使われるかもしれないという連絡は頂いたので、念の為会社の就業規則上問題ないかは確認しておきました。
金融機関で働く人が見る時間の番組ではないのか、職場では「見たよ」等の反応は一切なかったので杞憂でしたが。

インタビューでは芸人の方相手に30分程度はお話ししましたが、他に何人もインタビューしていましたし、私も正直気の利いた回答が出来た気もしないのでどう使われるのかは自分でもわかりませんでしたが「後方彼氏面」という切り口とは(笑)
我が家にはテレビがないので実際の映像は見ていないですが、ちゃんとライブで沸くオタクとの対比でしっかり彼氏ヅラしていた模様。あれでも自分のなかで沸いている方なのですけれど。
スタッフの方も丁寧にオタクの心情や事情について質問されていました。何時間も撮影した映像のなかから見ている側で興味の沸くエッセンスを抽出して、それを補足する材料を揃えていく番組作りの大変さが垣間見えて感動しました。

惜しむらくは、私の推しが出勤に日だったら宣伝になって良かったのにとは思いましたが(笑)
放送はされませんでしたがインタビューでは推しへの愛を延々と語ったおかげもあってか、何秒か異国のパルピタンテさんも映していただけたようで何よりです。
まぁ、オタクがメディアに出ても仕方のないので、いつか当人たちがフォーカスされてテレビにでるのを見てみたいですね。

後日聞いた話ですが、偶々テレビを昔の推しが見ていたとか(苦笑)
  1. 2016/10/14(金) 09:42:09|
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凶悪

【あらすじ(Wikipediaより)】
スクープ雑誌「明潮24」に東京拘置所に収監中の死刑囚・須藤から手紙が届く。記者の藤井は上司から須藤に面会して話を聞いて来るように命じられる。藤井が須藤から聞かされたのは、警察も知らない須藤の余罪、3件の殺人事件とその首謀者である「先生」と呼ばれる男・木村の存在だった。木村を追いつめたいので記事にして欲しいという須藤の告白に、当初は半信半疑だった藤井も、取材を進めるうちに須藤の告発に信憑性があることを知ると、取り憑かれたように取材に没頭して行く。

【感想】
原作は、実際に起きた「上申書殺人事件」を基にしたドキュメント。
リリー・フランキーとピエール瀧という本業は俳優ではない2人の演技がとにかくすごい。メディアで見る二人は優しさと人間味が感じられるが、映画中の2人は人殺しにしか見えない。
一方で、家族に見せる笑顔は父や夫としてのそれであり、人がここまで二面性を持てるのかと驚くばかり。
殺人事件を題材としていることで後味の良い終わり方ではないが、助演2人の演技目当てだけでも見る価値はある。
糖尿病と肝硬変を患う高齢者に無理やり高濃度の酒を飲ませて殺すというやり方は、殺人としては証拠に残り辛い方法と妙に感心したが、このやり方でもし自分が美女に飲まされたら死ぬまで飲むのではないかとかなりリアリティと恐怖があった。

満足度
☆☆☆☆☆




  1. 2016/10/13(木) 09:40:44|
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『赤めだか』立川談春

【感想】
立川流四天王の一人で、チケットの最も取れない落語家の一人と言われる談春のエッセイ。高校を中退後、立川談志に入門してから、真打昇進に至るまでの苦難と葛藤を描く。
軸にあるのは師匠である天才男子の教えや言葉たち。落語の世界では異端とされる立川流で、なぜこれほどまで多くの実力のある落語家が育ったのか。談志の画期的な育成手法と、その天才に魅了され、天才を理解する為にもがく談春や志の輔たちの姿が描かれている。
この本が落語家の本として圧倒的なベストセラーになったのは、何をおいてもその読みやすさ。語感であったり、比喩であったりが心地よく、きっとこの本を音読したら楽しいのだろうなという小気味よさを感じさせる。勿論、師匠である談志無しにはこの本は成立しないのだが。
私は立川流では圧倒的に志らく贔屓なので、志らくの描かれ方には納得はいかないが。

満足度
☆☆☆★★


  1. 2016/10/12(水) 09:39:43|
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『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海

【感想】
アイドルに「おすすめの本は?」と進められたら真っ先に挙げる本がこの本。経営学の巨人であるドラッガーについて、高校野球の女子マネージャーがチームを改革していく物語に即して説明していく。
顧客とは何か、自分達は誰に対して何を提供しているのか、チームとして各メンバーにどう役割を与えるか、強み弱みをどう発見するか、コミュニティを巻き込むにはどうするか。もちろん原著は経営学の本であるので、ビジネスパーソンが自分の周囲に当て嵌めて読む上でも十分にエッセンスが詰まっているが、よりこの本のノウハウを当て嵌めて効果を発揮すると思うのが部活動の世界や地下アイドルの世界だと思う。誰か、「地下アイドルのマネージャーがドラッガーのマネジメントとプロフェッショナルの条件を読んだら?」を書いてくれませんかね。
野球をやっていた身からすると、これくらいの工夫で甲子園に行かれたらたまったものではないというのが正直なところですが(甲子園を目指す連中の努力と量は少々の工夫で太刀打ちできるものではないので)、興味深い野球理論や若者たちの葛藤も描かれていて泣ける要素もあり、野球経験者でも読んでいて飽きないと思います。

満足度
☆☆☆☆☆

  1. 2016/10/11(火) 09:36:36|
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闇金ウシジマくん Part3

【あらすじ】
「フリーエージェントくん編」「中年会社員くん編」を基にした社会派ドラマ。今日も高金利で金を貸す金融屋「カウカウファイナンス」の丑嶋馨。フリーターの沢村真司は偶然知り合ったモデルのりなにあおられて、ネットで1秒間に1億円を稼ぐという天生翔のビジネスに身を投じ、カウカウファイナンスを巻き込んだある計画を考える。一方、サラリーマンの加茂守は妻帯者でありながら遊ぶ金欲しさにカウカウファイナンスで借金を重ね……。

【感想】
現実世界にもいた「秒速で1億円稼ぐ」男をモチーフに、その男を信じて情報商材ビジネスに身を投じた男たちの破滅までの世界を描く。「中年会社員くん編」はどちらかというと、救いのない男の破滅を描くというよりはギャグに近く、見ていて嫌な気持ちにさせられる「フリーエージェントくん編」の痛みを和らげる鎮痛剤のようなお話。
現実世界で「秒速で1億円稼ぐ」男やネオヒルズ族が登場した時、彼らの本を高学歴の大学生が読んでいたというが、提供する価値に見合わず高い報酬を得られるビジネスは持続可能性がないと思ったら案の定すぐに破綻してしまった。出版社にもよるけれど、地下鉄の電車内に仰々しいタイトルの広告を出す著者や、インパクトはあるが日本語のおかしなキャッチコピーの広告を出す人は信用しないことにしている。提供するサービスとその値付けが見合わないから、いつまでも莫大な広告宣伝費をかけないといけないわけで。
ネタバレになってしまうが、予想通り丑嶋の客は破滅に向かってしまうわけではあるが、ほとんどの者がカモになるビジネスの世界で、周囲の人間をカモにする仕組みを作って成り上がろうとして生き残りを図る主人公には少し共感が持てたし、いつもの後味の悪さは残らなかった。金を稼ぐことが悪いとは思わないが、得る対価と自分の提供する価値とのバランスがあった仕事をしたいと本作を見て痛感した。


  1. 2016/10/10(月) 12:21:32|
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『武道館』朝井リヨウ

あらすじ(公式HPより)
アイドルになりたかった。ただそれだけだったのに。
武道館でのライブを目指し活動するアイドルグループ「NEXT YOU」。独自のスタイルで行う握手会や難易度の高いライブパフォーマンスで一歩ずつ目標に近づいていく彼女たちだったが、メンバーの一人である愛子は、人気と知名度があがるにつれ、自分たちに集まる種類が変質していくのを感じるーー。
ただ、歌とダンスが好きなだけだった。大勢の観客の前で、アイドルとして輝きたかっただけだった。その気持ちは何も変わっていないはずなのに、求められることはどんどん増えていく。運営側からの期待、ファンから感じる情熱と重圧、ネット上での心無い誹謗中傷・・・・さまざまな思惑に取り囲まれながら、愛子、そして、NEXT YOUが進んでいく未来とは?
アイドルとして生きながらも、人間であることをやめられない少女たちの輝きと苦悩を綴った、衝撃の物語。

【感想】
直木賞作家だけあって、直接的に書かなくても読者に情景を思い浮かばせる書き方がすごい。
平易な文章で読みやすいし、現実世界でニュースになったアイドルの事件をモチーフにしているので、アイドルに関する前提知識がなくても、大体あの事件ねとイメージが浮かぶ。
アイドルや運営がどんなことを考えているのか、おそらく作者の関係者へ取材に基づくそれらの考えは、オタクという目線からは嬉しいものもあるし、知って複雑なものでもある。
アイドルを取り巻く独自なルールや商習慣を批判するのは、いつもそれを経験したことない人たちという主人公のものの見方は、共感できるものであったが、読み進めるに連れてオタクとして苦しく辛いものはあった。
アイドルは大勢のファンを相手に夢や疑似恋愛を与えることで、成り立つビジネスモデル。一方で、年ごろの少女に恋愛を禁止するというのは難しいものがある。アイドルというものの特性と、個人の欲望をどう両立させて、思春期の自分の成したいことを選択して実現していくか、アイドルには是非読んでほしい。

満足度
☆☆★★★
(小説としては面白いけれど、オタクが読むには辛すぎる内容。)


  1. 2016/10/08(土) 09:11:28|
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マネーモンスター

ストーリー:リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる。彼は番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、リーを人質に番組をジャック。さらに放送中に自分を陥れた株取引のからくりを白日のもとにさらすようパティに迫るが……。

日本橋のTOHOシネマズに見に行きましたが、会社の同僚や明らかに金融業界の方と思われる方がちらほら(笑)
舞台となる財テク番組「マネーモンスター」は経済番組というよりコメディ番組なので、金融サスペンスだと考えて臨むとがっかりするかもしれないです。金融を一つのトリガーにしたサスペンスと考えれば、息つく暇もなくてすごい楽しめる作品。
日本も個人の貯蓄から投資への流れと言われますが、個人投資家を増やすだけでなく、育てることの重要性を痛感。
ふと、Greed is good, now it seems it's legal という言葉が頭に過りましたね。


  1. 2016/06/29(水) 11:00:34|
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もうすぐ参院選なので

大学時代は一年間議員インターンでお世話になったり、子供時代からある種選挙オタクだったりするので、毎回選挙は立候補者の選挙演説を自分の耳で聞いて、公約や経歴・支持団体などを考慮の上投票しています。

冷戦時代のようなイデオロギー対立もなくなり、今の参院選は現政権のYes-Noの選挙になっている印象。政策に大した差がなく、公約は破られるものという印象を有権者は嫌というほど思い知らされているので、何か野党もトランプやジョンソンのように上手く危機を煽らないと、現状維持、現政権運営の実績を評価するという流れになって何も変わらない。

投票先はまだ決めていないですが、財政健全化と消費増税の方向性を打ち出している候補者に投票するつもりです。
民法の世界では、国民が身に覚えのない借金を背負わされることはありませんが、消費税増税を先送りとする決断は、若者や0~19歳の将来世代に借金を先送りしているだけなので。
増税より先に政府の効率化や財政削減が先という意見もありますが、消費税増税で生活が苦しくなってからの方が公務員の非効率や無駄を真剣に追求しようという気持ちも起こるでしょう。

若者の投票率が低い現状で、負担は将来に先送りというのは今の若者が選挙にいかない結果で自業自得。若者の投票率をあげれば既存政党の政策にも変化は現れると思いますが、もっと世代間の負担や格差にフォーカスした政党が表れてもいいと思います。若者だけの利益代表として、高齢者の既得権益打破と若者に手厚い福祉政策を掲げる政党が。ひたすら、そういう投票行動を取ることを議員に約束させて、一定年齢になったら自動的に党員としての地位を失うとかは面白いと思います。

私も20年くらい年を重ねたら、高齢者の権利とか言うようになっているかもしれませんが(笑)
  1. 2016/06/28(火) 11:13:16|
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