くらげたちへのレクイエム4

都内金融機関にて社会人7年目。 東京大学法学部卒。メインは読書記録を書いていく予定。▽キーワード:自己啓発、金融、野球、政治、M&A、競馬、AKB、大家志津香、異国のパルピタンテ、ヴィヴィアン・ゆん、dora☆dora、一色葵

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』岩崎夏海

【感想】
アイドルに「おすすめの本は?」と進められたら真っ先に挙げる本がこの本。経営学の巨人であるドラッガーについて、高校野球の女子マネージャーがチームを改革していく物語に即して説明していく。
顧客とは何か、自分達は誰に対して何を提供しているのか、チームとして各メンバーにどう役割を与えるか、強み弱みをどう発見するか、コミュニティを巻き込むにはどうするか。もちろん原著は経営学の本であるので、ビジネスパーソンが自分の周囲に当て嵌めて読む上でも十分にエッセンスが詰まっているが、よりこの本のノウハウを当て嵌めて効果を発揮すると思うのが部活動の世界や地下アイドルの世界だと思う。誰か、「地下アイドルのマネージャーがドラッガーのマネジメントとプロフェッショナルの条件を読んだら?」を書いてくれませんかね。
野球をやっていた身からすると、これくらいの工夫で甲子園に行かれたらたまったものではないというのが正直なところですが(甲子園を目指す連中の努力と量は少々の工夫で太刀打ちできるものではないので)、興味深い野球理論や若者たちの葛藤も描かれていて泣ける要素もあり、野球経験者でも読んでいて飽きないと思います。

満足度
☆☆☆☆☆

  1. 2016/10/11(火) 09:36:36|
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闇金ウシジマくん Part3

【あらすじ】
「フリーエージェントくん編」「中年会社員くん編」を基にした社会派ドラマ。今日も高金利で金を貸す金融屋「カウカウファイナンス」の丑嶋馨。フリーターの沢村真司は偶然知り合ったモデルのりなにあおられて、ネットで1秒間に1億円を稼ぐという天生翔のビジネスに身を投じ、カウカウファイナンスを巻き込んだある計画を考える。一方、サラリーマンの加茂守は妻帯者でありながら遊ぶ金欲しさにカウカウファイナンスで借金を重ね……。

【感想】
現実世界にもいた「秒速で1億円稼ぐ」男をモチーフに、その男を信じて情報商材ビジネスに身を投じた男たちの破滅までの世界を描く。「中年会社員くん編」はどちらかというと、救いのない男の破滅を描くというよりはギャグに近く、見ていて嫌な気持ちにさせられる「フリーエージェントくん編」の痛みを和らげる鎮痛剤のようなお話。
現実世界で「秒速で1億円稼ぐ」男やネオヒルズ族が登場した時、彼らの本を高学歴の大学生が読んでいたというが、提供する価値に見合わず高い報酬を得られるビジネスは持続可能性がないと思ったら案の定すぐに破綻してしまった。出版社にもよるけれど、地下鉄の電車内に仰々しいタイトルの広告を出す著者や、インパクトはあるが日本語のおかしなキャッチコピーの広告を出す人は信用しないことにしている。提供するサービスとその値付けが見合わないから、いつまでも莫大な広告宣伝費をかけないといけないわけで。
ネタバレになってしまうが、予想通り丑嶋の客は破滅に向かってしまうわけではあるが、ほとんどの者がカモになるビジネスの世界で、周囲の人間をカモにする仕組みを作って成り上がろうとして生き残りを図る主人公には少し共感が持てたし、いつもの後味の悪さは残らなかった。金を稼ぐことが悪いとは思わないが、得る対価と自分の提供する価値とのバランスがあった仕事をしたいと本作を見て痛感した。


  1. 2016/10/10(月) 12:21:32|
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『武道館』朝井リヨウ

あらすじ(公式HPより)
アイドルになりたかった。ただそれだけだったのに。
武道館でのライブを目指し活動するアイドルグループ「NEXT YOU」。独自のスタイルで行う握手会や難易度の高いライブパフォーマンスで一歩ずつ目標に近づいていく彼女たちだったが、メンバーの一人である愛子は、人気と知名度があがるにつれ、自分たちに集まる種類が変質していくのを感じるーー。
ただ、歌とダンスが好きなだけだった。大勢の観客の前で、アイドルとして輝きたかっただけだった。その気持ちは何も変わっていないはずなのに、求められることはどんどん増えていく。運営側からの期待、ファンから感じる情熱と重圧、ネット上での心無い誹謗中傷・・・・さまざまな思惑に取り囲まれながら、愛子、そして、NEXT YOUが進んでいく未来とは?
アイドルとして生きながらも、人間であることをやめられない少女たちの輝きと苦悩を綴った、衝撃の物語。

【感想】
直木賞作家だけあって、直接的に書かなくても読者に情景を思い浮かばせる書き方がすごい。
平易な文章で読みやすいし、現実世界でニュースになったアイドルの事件をモチーフにしているので、アイドルに関する前提知識がなくても、大体あの事件ねとイメージが浮かぶ。
アイドルや運営がどんなことを考えているのか、おそらく作者の関係者へ取材に基づくそれらの考えは、オタクという目線からは嬉しいものもあるし、知って複雑なものでもある。
アイドルを取り巻く独自なルールや商習慣を批判するのは、いつもそれを経験したことない人たちという主人公のものの見方は、共感できるものであったが、読み進めるに連れてオタクとして苦しく辛いものはあった。
アイドルは大勢のファンを相手に夢や疑似恋愛を与えることで、成り立つビジネスモデル。一方で、年ごろの少女に恋愛を禁止するというのは難しいものがある。アイドルというものの特性と、個人の欲望をどう両立させて、思春期の自分の成したいことを選択して実現していくか、アイドルには是非読んでほしい。

満足度
☆☆★★★
(小説としては面白いけれど、オタクが読むには辛すぎる内容。)


  1. 2016/10/08(土) 09:11:28|
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マネーモンスター

ストーリー:リー・ゲイツ(ジョージ・クルーニー)が司会を務め、その巧みな話術で株価予想や視聴者への助言を行う高視聴率財テク番組「マネーモンスター」。番組ディレクターのパティ(ジュリア・ロバーツ)の指示を聞かず、アドリブ全開でリーが生放送に臨む中、拳銃を手にした男カイル(ジャック・オコンネル)がスタジオに乱入してくる。彼は番組の株式情報によって財産を全て失くしたと憤慨し、リーを人質に番組をジャック。さらに放送中に自分を陥れた株取引のからくりを白日のもとにさらすようパティに迫るが……。

日本橋のTOHOシネマズに見に行きましたが、会社の同僚や明らかに金融業界の方と思われる方がちらほら(笑)
舞台となる財テク番組「マネーモンスター」は経済番組というよりコメディ番組なので、金融サスペンスだと考えて臨むとがっかりするかもしれないです。金融を一つのトリガーにしたサスペンスと考えれば、息つく暇もなくてすごい楽しめる作品。
日本も個人の貯蓄から投資への流れと言われますが、個人投資家を増やすだけでなく、育てることの重要性を痛感。
ふと、Greed is good, now it seems it's legal という言葉が頭に過りましたね。


  1. 2016/06/29(水) 11:00:34|
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もうすぐ参院選なので

大学時代は一年間議員インターンでお世話になったり、子供時代からある種選挙オタクだったりするので、毎回選挙は立候補者の選挙演説を自分の耳で聞いて、公約や経歴・支持団体などを考慮の上投票しています。

冷戦時代のようなイデオロギー対立もなくなり、今の参院選は現政権のYes-Noの選挙になっている印象。政策に大した差がなく、公約は破られるものという印象を有権者は嫌というほど思い知らされているので、何か野党もトランプやジョンソンのように上手く危機を煽らないと、現状維持、現政権運営の実績を評価するという流れになって何も変わらない。

投票先はまだ決めていないですが、財政健全化と消費増税の方向性を打ち出している候補者に投票するつもりです。
民法の世界では、国民が身に覚えのない借金を背負わされることはありませんが、消費税増税を先送りとする決断は、若者や0~19歳の将来世代に借金を先送りしているだけなので。
増税より先に政府の効率化や財政削減が先という意見もありますが、消費税増税で生活が苦しくなってからの方が公務員の非効率や無駄を真剣に追求しようという気持ちも起こるでしょう。

若者の投票率が低い現状で、負担は将来に先送りというのは今の若者が選挙にいかない結果で自業自得。若者の投票率をあげれば既存政党の政策にも変化は現れると思いますが、もっと世代間の負担や格差にフォーカスした政党が表れてもいいと思います。若者だけの利益代表として、高齢者の既得権益打破と若者に手厚い福祉政策を掲げる政党が。ひたすら、そういう投票行動を取ることを議員に約束させて、一定年齢になったら自動的に党員としての地位を失うとかは面白いと思います。

私も20年くらい年を重ねたら、高齢者の権利とか言うようになっているかもしれませんが(笑)
  1. 2016/06/28(火) 11:13:16|
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なぜ私は繋がりが嫌いなのか

Haney Squashのメンバーが、ファンと繋がりたくてアイドルを辞めるなど繋がりが流行っているのですかね(苦笑)
アイドルにはJCやJKだけでなくいい年齢の子もいるので彼氏がいてもいいとは思いますが、ファンと繋がるのは原則否定的。

私が繋がりに否定的なのは、本来は運営を経由してアイドルに取るべきお金がアイドル現場という生態系の外でアイドルに行きわたるようになるから。
極論かもしれませんが、アイドルとオタクの関係は、アイドルが複数のファンからの収入で資金繰りを回しながら夢を目指していくというシステムだと思っています。オタクからアイドルへのお金の流れや、アイドルからオタクへの愛情・感謝のバランスが崩れてしまう。運営もファンも時間とお金を投資しているのに、特定のファン以外はリターンを得られない世界ができあがってしまう。

昔アイドルと繋がったオタクに聞いたのですが、繋がってもばれないようする努力が大変で、オタクとしても従前のように楽しめずつまらなかったとのこと。昨今のワイドショーが不倫ネタ一色なのように、人は他人の色恋沙汰が大好きなで口に戸は立てられないので秘密を維持し続けるのは大変なのでしょうね。当時者も関係が良好な間はいいですが、オタクといい加減な気持ちのアイドルの関係が長続きするとは思えないし、関係が悪化した時の周囲へのリスクが大きすぎる。
アイドル側もこの人となら関係が公になって世間に批判されても後悔しないと思える相手か、真剣に吟味したうえで繋がって欲しいものです。

繋がるなら、最初からアイドルとしてではなく、学校の文化祭やUNIDOLで頑張って欲しいですが。
  1. 2016/06/27(月) 11:17:07|
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藤田晋トークセッション「勝負強い経営~洗面器から最後まで顔を上げなかったものが勝つ~」2016.6.21

日経新聞有料版購読者限定セミナーに参加してきました。
藤田晋といえば麻雀の腕前はプロ級で有名。経営と麻雀には相通じるものがあるというコラムを良く拝見していたのですが、今回のテーマは経営と麻雀について。
CAに対するイメージはネットバブル期に登場した企業の一つという印象で、キラキラ女子やちゃらい体育会系で伸びている会社というのが受講前のイメージでしたが、社長は非常に論理的で固いビジネスをしているんだなというのが感想。質疑応答も敢えて難しい言葉や横文字を避けていて、相手にどう伝えるかに非常に拘っているのだなと感じました。
ネットバブルブームに乗って追い風にするために、必要な時は会合への参加やメディア露出はしたが、不要な会合は無謀な投資は決してしなかったと聞いて感嘆。
仕事への情熱と論理を兼ね備えていて、三木谷さんに社交性や温かみをプラスした印象。
現状はAmebaやゲーム事業が現状の収益の柱ですが、今後リソースを集中投下していく予定のメディア事業を伸ばしていけるか、そしてCAを世界で戦える企業にできるのか楽しみにしています。


【エッセンス】
① 洗面器:短期的に自分の力で結果を出せる競技として麻雀に挑戦。麻雀と経営の相互フィードバック。麻雀も経営も我慢のゲーム。勝負所ではないのに勝負をかける人から脱落。負けの99%が自滅であり、ミスしなければ勝てる。不平等なところからスタートして、スピードと得点を競うゲーム。麻雀を通じてリスクリターンの感覚を研ぎ澄ます。
② 幽体離脱:メンタルとバランスを崩さないように、もう一人の自分と対話する。
③ 激怒:筋の通らない行動をした者への示しをつけるパフォーマンスとして利用する。
④ 雑用:雑用の手を抜くとツキが逃げる。偉くなっても大事な雑用は自分でするべき。細かい仕事が雑だと信用でいない。飲み会のセッティングも、いわば大きな仕事を任せる為の試金石。藤田社長は社員のSNSは細かくチェックしているし、名前は覚えるということを心がけている。
⑤ 低姿勢:偉くなったら負けが始まる。長続きする経営者はおおむね低姿勢(楽天は除く)。
⑥ 兼任監督:監督に徹する人は成長しない。技術が進化する世界では監督は自分で経験しないと、人には任せられない。但し、現場の手柄を撮ると人が育たない。
⑦ 子会社社長:若手を部門のリーダーではなく、子会社として切り離し社長にすることで社員のモチベーション・責任感・能力をアップする。連結経営なので全体としては同じであり、子会社の肩書はタダだが日本では社長とい言葉の与えるインパクトが大きい。各社には自由にやらせるが、マネジメントツールの中では管理する。
・経験を積ませることで人を育てる。役員を2年で2人ずつ入れ替える制度を導入したところ、役員のモチベーションがアップした。人材育成は生来利益で還元してもらうため。チャレンジと努力した結果失敗したなら、再度チャンスを与える。
・サラリーマンの経験は会社の仕組みやマナーを学ぶ上で役に立った。起業した後も大企業からの信頼を得る上でショートカットとなった。
・CAの目標はグローバルな規模で人に尊敬されるビジネスを手掛けること。世界で成功するプロダクトを作る為には、技術・デザインで卓越する必要がある。
・CAの社長としてはギャンブルとしての麻雀よりも競技麻雀の方が面白いと思う。中継される中で下手な麻雀は打てないというプレッシャーと戦いながら麻雀を打っている。お金を賭けるとカネを払えばそれで済んでしまう。酒を飲みながら打つ麻雀は論外。

  1. 2016/06/22(水) 00:36:18|
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異国のパルピタンテ 1stワンマン 2016.6.19


昼間からDESEOでDDプリンセスを観戦し、時間があったのでWINS渋谷でJRAに10kほど献金してから秋葉原へ。
前日はワンマンにもかかわらず出ていなかったファンからのスタンドフラワーも出ていたし、動員は前日に比べると大幅に増加し100人前後。

新衣装あり、曲が止まってのアカペラハプニングあり、決意映像あり、新曲発表ありで、心臓に悪かった前日に比較するととてもお腹いっぱいな内容。
アキドラでの昨年のワンマンに比べると客足は半分以下だし若いオタクは大幅に減ったのでファン側の盛り上がりには欠けるけれども、温かく見守っているオタクが多いライブでした。
おそらくあの場を共有できたファンはオタク歴の長い方々が多いので多少のことがあっても末長く応援していくのでしょうね。

いままではゆんとは色々話す機会は十分にあり、この子なら大丈夫と思って応援してきました。一方で、他のメンバーが何を考えているのかはほとんど理解していないし、なぜ仕事をしないでアイドルをしているのかも、これからどんな大人になりたいのかもわからずゆんがいるユニットだからという理由で応援してきたのが実際のところ。ですので、彼女たちの言葉でアイドルを続けていく覚悟を聞くことができたのは収穫でした。
後は、その言葉をどう日々の行動やステージのパフォーマンスで見せてくれるのか。ファンは盲目的に推しているように見えるかもしれませんが、メンバーや運営の瑣末な言動までしっかり見ているので。自分たちの目標を達成するための戦略と戦術はいかなるもので、毎回毎回どんな目標を持ってライブや物販に臨んでいるか、じっくり見させてもらおうと思います。それで変化ができないのであれば、正直アイドルに若い人生の時間をささげるのは勿体ないし辞めた方がいい。

今まではアキドラという絶対的なホームがあり、資本力のある運営の元でやってきたわけですが、文字通り一からやり直し。
社会人からすると信じられない杜撰さもファンの身内感と、アキドラクオリティという言葉で許容されてきた面はあったと思います。これからは、「アキドラ発」という看板を失った中で、他のアイドルとパフォーマンスやファン対応、運営の姿勢などで純粋に競争していかなければならないし、そこで他のユニットの水準以上で差別化ができなければあっという間に淘汰されて次のワンマンなどないかもしれません。
ホームがなくなり主力メンバーも抜けて振り出しに戻った感はありますが、次回のワンマンライブでキャパ400人のライブ会場を埋めることができるように微力ながら応援はしていきたいと思います。

【セットリスト】
1 カバー曲メドレー(昨日と同じ曲を順番変えて、サイレントマジョリティー・大器晩成・ミニモニじゃんけんぴょん・いちごパフェ・Tactics・全力少女) 
(従来の異国衣装から青色新衣装にチェンジ)
2 絶対相対アイドル
3 異国のイノセンス
4 強気弱気のサマーガールズ
5 異国の胸騒ぎ
6 異国のSwing Snow
7 今日と明日のラストダンス
8 無敵素敵シンパシー
AC
9 異国のエルドラド
10 絶対相対アイドル
  1. 2016/06/21(火) 00:26:00|
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『半笑いの馬券定理 競馬で勝つための本質 』半笑い

競馬予想家として好きなのは、調教予想の井内利彰と本著者の半笑い。
競馬は単勝・複勝は期待値8割、それ以外の馬券は期待値7割5分のゲーム。なので、宝くじ同様参加すること自体が馬鹿らしいと経済学者は言います。
子供の頃から競馬と接して来たので競馬に対する贔屓は多分にあると思うけれど、私はそうは思わない。
知人の競馬新聞記者から良く言われたのは「競馬は参加料で25%を払い、残りの75%を参加者で奪いあうゲーム」。
宝くじとの最大の違いは、馬券売り場には当たり馬券が売っていないということはないが、多くのプレーヤーが予想した結果として外れる馬券を購入していること。(宝くじはそもそも宝くじ売り場に当たりくじがない可能性が高い。)
そして自分とは独立して当選確率が決まる宝くじに対し、競馬の配当は参加するプレーヤーによって決まるということ。
つまり、オッズ表に表示されるオッズと、本来の各馬の強さを反映した真のオッズの隙間をつくことができれば、期待値8割のゲームでも期待値10割を超えることは可能なのではないかと思う。

本書は2011年より登場したWIN5とそれにまつわる数字を通じて、どうすれば馬券力を高めることができるかを読者に考えさせる。
本書に取り扱う最新のデータを自分で抑え、計算しその数字の意味を考える作業は非常に面倒ではあるし、相応に頭を使う作業ではある。
恐らくその重要性を理解することはできても、実行に移すことはできないプレーヤーが大半。
だからこそ、そのような汗をかかないプレーヤーをカモにできる予想家がこの世に存在できるのであろう。

この本の抱えるジレンマは全てのプレーヤーがこの本の通りに投票すると、本が依拠するデータが無意味なものになってしまうということ。
ギャンブル好きは、基本的には怠惰な生き物なのでそんなことは起こりえないが。

※ちなみに、私はWIN5登場以来一定金額を買い続けているが、一度も当たったことはない。そろそろ、WIN5で負け続けた金額で新車が買えるレベル(泣)


  1. 2016/06/20(月) 10:39:09|
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『あれか、これか-「本当の値打ち」を見抜くファイナンス理論入門 』野口真人

宝くじや公営ギャンブルのように、人は期待値が1以下のゲームに参加する愚行を犯す。
普段は冷静な判断が出来る人でさえ、お金が絡むと人は冷静な判断ができなくなる。
本書はファイナンス理論を身に着けることで、自分達の周りのものの「本当の値打ち」を見極めようとする。

著者の会社の方に以前名刺交換させて頂いたことがあったのですが、気前のいいことに全員にプレゼントで頂きました。
独立系のバリュエーション(企業価値評価)ではNo1の会社なので、そこの出すレポートや専門書は拝読したことあったのですが、当然それらを読むのはそれを専門的に業務としている方々に限定されています。仕事を取ってくるには、それが専門ではない方々にいかにアピールするかが重要ですし、金融コンサルサービスは特に差別化が難しいので、本書の様に専門領域を日常世界に当て嵌めてわかりやすく解説したビジネス書というのは本業でのマーケティングという意味で非常に有効なのでしょう。

【エッセンス】
今日の自分は過去の判断の結果。悔いのない人生を送るには、ものの本当の価値を見抜くことが必要。
そのツールとしてファイナンス理論が有効。

現金は最も価値の低い資産の一つ。現金よりも稼ぐ力のある資産を持つべき。
価値≠価格。値段にだまされない人が全てを手に入れる。
過去の費用やみんなの意見からは本当の価値はわからない。

会計は無形資産の価値(ヒト・ブランド)を見逃す。ファイナンスは目に見えないものを価値の源泉と考える。
収益性の源泉はヒト>モノ>カネの順。
価値=将来にわたって生み出すキャッシュフローの総和

信用創造:お金を銀行に預けることで預けた金額の約10倍が社会に流通する効果をもたらす。

ある程度の金利の存在する世界では、CFの継続期間が長くなってもその現在価値はあまり増えない。
金利の世界ではCFの継続期間よりもCFの絶対水準が重要。
金利はいかなる場合も投資家が決めるもの。⇒リターンが低ければ社債価格が下がる。

人生の選択はアップサイドリスクをどれだけ味方につけられるかにかかってくる。
リターンはリスクの見返りであり、リスクは不確実性である。本当の価値を見抜くにはいかにリスクを正確に把握するかが重要。

投資家の行動パターンは「美人投票」⇒「自分が誰を美人と思うか」よりも「みんなが誰を美人と思うか」の“予想”が重要
ランダムウォーク:過去のチャートの動きから将来の株価予測はできない

平均と個々の値の差=偏差
偏差の2乗の平均値=分散
分散の平方根=標準偏差
偏差値の計算方法 ①偏差×10⇒②①の数字を標準偏差で割る⇒②の数字に50を足す
正規分布の場合、平均値から±1σに68.27%が、平均値から±2σに95.45%、平均値から±3σに99.73%が含まれる。
ファイナンス理論では標準偏差と期間の長さをもとに投資リスクを合理的に計算する。

人生の時間は有限⇒ 価値は時間の観点の中で評価しなければならない。 ex生命保険・定期預金・マイホーム

MM理論:資産購入のための資金調達方法は、その資産の額とは無関係である。企業や資産の価値を決めるのは将来のCFと割引率の2つだけ。
ポートフォリオ理論:投資家は分散投資により投資のリスクだけを下げて、確実に期待収益を上げることができる(分散効果)。負の相関のある資産に分散することでリスクの軽減効果を高めることができる(相関効果)。

リスク・リターンが最も優れたポートフォリオ:マーケットポートフォリオ
(株式市場の場合、市場に存在する株式銘柄を時価総額比率按分で組み込んだポートフォリオ)⇒米S&P、日TOPIX
個別株式のリターンは、その株式自体のリスクからではなく、マーケットポートフォリオに与える影響から評価すべき

プロスペクト理論:リスク回避度合はその人間のおかれた状況によって変化する⇒行動ファイナンス

ブラックショールズ式のエッセンス:①原資産のリスクが高くなるほどオプションの価値は高くなる、②オプションの価値は原資産の価値以上になることはない。
オプションの変数:1)原資産、2)スポット価格、3)行使価格、4)オプションの期間


  1. 2016/06/19(日) 10:36:10|
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